急速拡大装置とは?メリットや注意点、治療期間を解説
2025年10月16日(木)
歯のコラム
こんにちは。岡山市北区津島西坂の歯医者「MAEDA DENTAL CLINIC」です。

子どもの歯列矯正において、上あごが狭くて歯並びが乱れている場合に用いられるのが急速拡大装置です。歯列が広がることでスペースが生まれ、歯がきれいに並んでいくことが期待できます。
急速拡大装置にはさまざまなメリットがある一方で注意点もあるため、正しい知識を持っておきましょう。
この記事では、急速拡大装置の特徴や使用する際の注意点、治療期間の目安などについて詳しく解説します。
急速拡大装置とは

急速拡大装置は、歯科矯正において上顎の骨を広げるための装置です。顎の骨を拡大することで歯が並ぶスペースを確保し、歯列や噛み合わせを整えていきます。
基本的には、骨の柔軟性が高い成長期の子どもに用いられます。この時期に適切に顎の骨に力をかければ、効果的に上顎を拡大できるのです。
装置の中央にはネジがあり、ネジを毎日少しずつ回すことで装置が広がり、徐々に顎の幅を広げていきます。
急速拡大装置のメリット

顎の骨を広げられるので、歯並びの改善を目指せることをお伝えしましたが「子どもが治療を受ける必要はあるの?」と思った方もいるかもしれません。ここでは、急速拡大装置で治療する主なメリットを確認しましょう。
歯並びや噛み合わせの改善につながる
歯並びが乱れる原因として多く挙げられるのが、顎の骨の発達不足です。歯が並ぶためのスペースが十分にないため、歯が重なったり捻れたりして生えるのです。
急速拡大装置では、上顎の骨を効果的に拡大できます。そのため、歯の位置調整をしなくても自然に歯並びが改善されるケースもあります。
また、上下の顎のバランスが整って正しい噛み合わせになれば、咀嚼機能の向上や顎関節への負担軽減にもつながります。
短期間で効果が出る
名前のとおり、急速拡大装置では急速に顎の骨を広げていきます。無理な力をかけるわけではありませんが、短期間で顎の幅を広げられるでしょう。
成長期の子どもを主な治療対象としているため、骨の柔軟性を活用した効果的な治療が可能です。歯並びが乱れる原因を取り除く治療のため、後戻りのリスクも低いとされています。
顎の機能と見た目の改善につながる
急速拡大装置で顎をしっかりと成長させることができれば、咀嚼機能が向上します。咀嚼能力は栄養の摂取効率などに大きく影響するので、適切な噛み合わせは健やかな成長に欠かせないといえるでしょう。
また、顎のバランスが整えばフェイスラインが美しくなり、自分の笑顔に自信を持てるようになるかもしれません。
急速拡大装置のデメリット・注意点

どのような矯正方法でも、メリットだけではなくデメリットや注意点が存在します。治療を検討する際には、以下の点についても十分に理解しておく必要があるでしょう。
ここでは、急速拡大装置のデメリットや注意点をご紹介します。
違和感や痛みが生じる可能性がある
急速拡大装置を装着してしばらくは、装置の存在に違和感を覚える子どもが少なくありません。装置が口の中に固定されているため、舌が動かしづらくなったり、噛みにくさを感じたりすることが多いです。
また、ネジを回して上顎の骨を拡大する過程で、痛みや違和感が生じることもあります。小児を対象とした治療法なので、不安が和らぐように声をかけるなど保護者のサポートも欠かせない治療法といえます。
装置の管理が必要
急速拡大装置は固定式のため、取り外しができません。装置の衛生管理などを怠ると、虫歯や歯周病のリスクが高まるでしょう。特に、装置の周辺は食べ物が残りやすいため、丁寧な歯磨きが必要です。毎食後、装置の周辺も含めてしっかりと磨きましょう。
また、装置に食べ物が挟まることも多いので、歯間ブラシやタフトブラシを活用し、細かい部分もきれいに清掃しなければなりません。
小さなお子さまの場合、ご自身だけで装置の管理をするのは困難です。この点でも、保護者の方の協力が欠かせない治療法といえるでしょう。
治療中の生活に影響が出ることがある
装置を装着している間は、食事や会話に多少の影響が出ることがあります。硬いものや粘着性の高い食べ物は装置に引っかかりやすいため、避けるのが理想です。会話の際も、装置が舌の動きを制限して話しづらいと感じる子どもが多いです。
装着後1週間程度で慣れてくるケースが多いので、様子をみてあげましょう。
治療の効果には個人差がある
急速拡大装置は、すべての症例に効果があるわけではありません。特に、顎の骨の成長がある程度終わってしまっている場合は、骨を横に広げることが難しいでしょう。
急速拡大装置の適応年齢

急速拡大装置を使用した治療は、主に6歳から12歳前後の混合歯列期(乳歯と永久歯が混在する時期)に実施されます。この時期は、上顎の骨がまだ成長中でやわらかいため、無理なく拡大が可能だからです。もっとも効果が出やすいのは、7歳から10歳頃とされています。
ただし、12歳を過ぎても骨の成長が止まっていなければ使用できるケースもあります。歯科医師が診察・検査を行って判断しますので、まずはクリニックへ相談してみましょう。
急速拡大装置の治療期間

急速拡大装置の治療期間は、患者さまの年齢や骨の状態などで多少変動しますが、一般的には3〜6カ月程度です。名前のとおり急速に顎の骨を拡大するため、短期間で効果を得られることが多いです。
治療中は定期的に歯科医師の診察を受け、問題が発生した場合は迅速に対処することが重要です。
急速拡大装置の費用

急速拡大装置による治療を含めて、矯正治療には基本的に健康保険が適用されません。そのため、自由診療となり、費用は全額自己負担しなければなりません。
治療費は歯科医院や地域によって異なりますが、装置そのものの作製費用として5万〜20万円程度かかるのが一般的です。加えて、定期的な調整料が必要で、1回あたり3,000円〜5,000円程度の費用が発生する場合があります。
1ヶ月に1回ほどの頻度で受診して、口内に異常が起きていないか、装置に問題はないか、治療の効果は出ているかなどを確認します。
さらに、矯正治療が終了した後には、後戻りを防ぐための保定装置を使用する必要があります。治療によって拡大された顎の骨はすぐに安定するわけではなく、装置を完全に外すと後戻りする可能性があるためです。
そのため、リテーナーと呼ばれる保定装置を作成・使用して顎の骨の状態を安定させます。リテーナーの作成には別途3万〜10万円程度かかることもあるため、これらの費用も考慮して治療を検討する必要があるでしょう。
多くの歯科医院では、治療前に詳しい見積もりを提示し、総額でいくらかかるのかを説明してくれます。治療を始める前には、将来的な費用も含めてしっかり確認しておきましょう。
費用は治療の満足度にも影響しますが、安さだけで治療を受ける歯科医院を選ぶのは避けてください。歯科医師の技術力や実績、設備の充実度なども判断材料にして選択することが大切です。
まとめ

急速拡大装置は、歯列のスペース不足を解消し、歯並びや噛み合わせを改善するための有効な矯正装置です。特に、成長期の子どもに対して使用することで、短期間で顎の骨を横に広げられ、自然な歯並びを目指せるでしょう。
しかし、痛みや違和感が生じたり、日常生活に制限がかかったりすることもあるため、保護者の方のサポートが欠かせません。お子さまと保護者の方と歯科医師が協力しながら、お子さまの美しい歯並びを目指しましょう。
急速拡大装置による治療を検討されている方は、岡山市北区津島西坂の歯医者「MAEDA DENTAL CLINIC」にお気軽にご相談ください。
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