顎関節症とはどんな病気?症状や放置リスク、治療法を解説
2025年12月11日(木)
歯のコラム
こんにちは。岡山市北区津島西坂の歯医者「MAEDA DENTAL CLINIC」です。

顎関節症に悩まされる方は少なくありませんが、正しい知識を持っている人はどのくらいいるでしょうか。症状が軽度であれば日常生活に大きな支障は出ないものの、放置すると慢性的な痛みや開口障害など、深刻な問題を引き起こす可能性があります。
この記事では、顎関節症の基本的な情報から、あらわれる症状、放置によるリスク、そして治療法までをわかりやすく解説します。顎の異常に気づいているけれど「まだ大丈夫」と放置している方や、顎の痛みが気になるが原因が分からないという方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
顎関節症とは

顎関節症は、顎の動きに関与する関節や筋肉に何らかの不調が生じることで、口の開閉や咀嚼、発声などに支障が出る疾患の総称です。日本においては、成人の約4割が一度は顎関節症の症状を経験していると言われています。
この病気は単一の原因で発症することは少なく、顎関節そのものの障害や、関節周囲の筋肉・靭帯の状態、習慣などが複雑に絡み合って発症することがほとんどです。そのため、正確な診断と治療が重要となります。
顎関節症の症状

顎関節症の主な症状は、以下のとおりです。
- 顎の痛み
- 口を開けるときの引っかかりや音
- 口を開ける動作の制限
- 耳周辺の症状
それぞれ詳しくみていきましょう。
顎の痛み
最も基本的な症状の一つが、口を開けたり閉じたりした際に感じる顎の痛みです。特に、食事の際などに痛みが現れやすいです。個人差はあるものの、慢性的な痛みが続く方も少なくありません。
口を開けるときの引っかかりや音
口を大きく開けたときに引っかかりを感じたり、カクカク・ガリガリといった音が鳴るったりすることがあります。これは、関節円板というクッションの役割を果たす組織がずれたり、関節の動きがスムーズでなくなっているためです。
音がしても痛みがなければ問題ないと思う方もいますが、関節の異常を示すサインである可能性があります。
口を開ける動作の制限
顎関節症の症状のなかでももっとも代表的なのは、口を開ける際に痛みや違和感が生じることです。通常、揃えた指を縦に3本分ほど口を開くことが可能ですが、顎関節症になると指1本分程度しか口を開けられなかったり、口を開けるのに異常な苦痛を伴ったりすることがあります。
耳周辺の症状
耳は顎関節に近い場所にあるため、顎関節症になると耳周辺に症状が現れることがあります。代表的な症状に、耳鳴りや耳痛などが挙げられるでしょう。顎関節に近い場所にある筋肉の緊張や腫れが、耳の痛みなどの症状として現れていると考えられます。
顎関節症の主な原因

ここでは、顎関節症の原因について解説します。
噛み合わせの不調和
上下の歯がうまく噛み合わない状態では、顎関節に不均等な力を加え続けることになります。上下の歯の位置関係や、詰め物・被せ物の高さが合っていないと、噛むたびに関節に過度な負担がかかります。
さらに、噛み合わせのバランスが悪い状態を放置すれば、顎関節症だけでなく、歯の摩耗や歯周病など、さらなるトラブルを引き起こす可能性もあります。
歯ぎしりや食いしばりなどの癖
無意識のうちに行う歯ぎしりや食いしばりは、加齢に関係なく顎関節症の主要な原因のひとつです。睡眠中や日中の無意識な食いしばりは、長時間にわたって顎に強い圧力をかけ続けます。
ストレスや生活習慣
心理的なストレスも、顎関節症に深く関わっているとされています。ストレスを感じると、無意識のうちに歯を食いしばったり、筋肉が緊張したりします。その結果、咬筋や側頭筋といった噛む際に使用する筋肉に負担がかかり、顎関節に悪影響を及ぼすのです。
また、スマートフォンやパソコンの長時間使用により、うつむき加減の姿勢が続くことによって顎関節への負担が蓄積されるケースもあります。特に、下を向いて画面を見続けることが、顎の痛みや開口障害の原因となることもあります。
外傷や急激な顎の動き
何らかの衝撃により顎を強く打った場合なども、顎関節や周囲の筋肉に損傷が生じて症状が現れることがあります。また、急激に大きな口を開けた際や、強く噛み締めた際なども、顎関節に過度な負担をかけることがあるので注意が必要です。
顎関節症を放置するリスク

顎関節症は軽度な症状から始まることが多く、初期段階では大きな問題を感じないケースもあります。
しかし、放置していると症状が次第に悪化し、日常生活に深刻な影響を与えることがあります。痛みや違和感が慢性化することで、仕事や人間関係にも支障をきたす可能性もあるため、適切なタイミングで対応しましょう。
ここでは、顎関節症を放置することで生じる具体的なリスクについて解説します。
痛みや不快感が慢性化する
顎関節症の症状は、軽度な段階であれば自然と改善することもありますが、悪化していくケースも少なくありません。悪化すると、強い痛みが続いたり、不快感が慢性化したりといった状態になることもあります。
特に、慢性的な顎の痛みが続くと、日常生活の質が著しく低下します。
顎の動きが制限される
顎関節症をそのままにしておくと、口の開閉に制限が生じ、正常に食べ物を噛むことが難しくなります。口が十分に開かなくなれば、大きなものを食べることができません。食事が一つの楽しみである人にとって、大きなストレスになるでしょう。
長期間にわたって十分に噛めない状態が続くと、栄養バランスが偏る恐れもあります。また、咀嚼が不十分なまま飲み込むことで消化不良を起こしやすくなり、胃腸にも負担をかける可能性もあるでしょう。
歯や噛み合わせに影響を及ぼす
顎関節症を放置すると、顎の位置がずれ、上下の歯の噛み合わせにも影響が出ることがあります。噛み合わせが悪くなると、食事のたびに違和感が生じたり、さらに一部の歯に過度な負担がかかって歯を痛めたりすることもあります。
また、歯のすり減りが早まって、歯がしみる、歯が欠けるなどの症状が現れるリスクも高まります。
精神的ストレスが増加する
痛みや不快感、睡眠不足などが続くことで、精神的ストレスが蓄積します。ストレスが溜まると痛みに対する感受性が高まり、さらなる症状悪化を招く悪循環に陥ることもあるでしょう。
顎関節症の治療法

顎関節症の治療は、症状の程度や原因によって異なり、基本的には保存的なアプローチが取られます。ここでは、代表的な治療法について詳しく解説します。
生活習慣の見直しとセルフケア
治療の基本は、症状を悪化させる要因を取り除くことです。あごに無理な力がかからないよう食事内容や咀嚼方法に注意を払い、硬いものや大きく口を開ける動作は控えるよう指導されることが多いです。
また、ストレスがあれば適切な発散方法を取り入れると良いでしょう。 セルフケアとしては、あごの筋肉をゆるめる温熱療法や軽いマッサージ、就寝時の姿勢改善などが推奨されることもあります。
薬物療法
薬物療法では、顎関節や周囲の筋肉の炎症や痛みを抑えるために、消炎鎮痛剤などが処方されます。痛みや炎症が強い初期段階での治療の選択肢になります。
また、抗不安薬や筋弛緩剤を使用して、ストレスや筋肉の緊張を和らげる処方がされることもあるでしょう。
マウスピースの装着
歯科的な治療として、マウスピース(ナイトガード)の使用が挙げられます。就寝中に歯に微細な圧力がかかり、無意識下で歯ぎしりや食いしばりを行うことがあります。これにより、顎関節に不調和な力が加わり、顎関節症を引き起こす可能性があります。
マウスピースを装着すると、睡眠中に歯に加わる圧力を分散させ、顎への負担を軽減することが可能です。また、朝起きたときのこめかみ周辺のだるさや違和感の軽減も期待できるでしょう。
理学療法や運動療法
あごの関節や周囲の筋肉をほぐしたり、機能回復を促す運動療法が行われることもあります。温熱療法やマッサージ、関節の動きを改善するストレッチなどを通じて、症状の改善を目指します。
ただし、実施にあたっては、歯科医師または理学療法士の指導のもとで行う必要があります。
外科的治療
上述してきた治療が効果を示さない場合や、関節内に重大な損傷が認められる場合には、外科的介入が検討されます。侵襲が大きいため、慎重に適応を判断します。
まとめ

顎関節症は、顎の構造や筋肉、生活習慣、心理状態などが複雑に関係した疾患です。顎の痛みや口を開閉する際の違和感、耳周辺の不調など、放置すると生活の質を大きく損なう可能性があります。
症状が軽いうちは自然に治ると思われるかもしれませんが、実際には継続的なケアが必要です。軽度のうちから生活習慣の見直しやセルフケアを取り入れ、改善が見られない場合は専門医の診断を受けて適切な治療を始めることが大切になります。
顎の健康を保つことは、快適な日常生活を送るうえで欠かせません。気になる症状がある方は、早めに歯科医院を受診してください。
顎関節症の治療を検討されている方は、岡山市北区津島西坂の歯医者「MAEDA DENTAL CLINIC」にお気軽にご相談ください。
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