顎関節症治療
顎関節症は、顎の関節や咀嚼筋に異常が生じることで、口を開ける際の痛みや違和感、開閉時の音などを伴う症状を総称する言葉です。
肩こりや頭痛、耳鳴りといった全身的な不調が関係している場合も多く、軽視すると日常生活に支障をきたすおそれがあります。
当院では、顎関節症を総合的に捉え、早期に対策を行うことが口元だけでなく全身の健康や快適さにつながると考えています。
顎関節症の主な症状
顎関節症によって現れる症状は多岐にわたりますが、代表的なものとして以下が挙げられます。
顎を動かしたときにカクカク音がする、口が大きく開かない、開けると痛みを覚えるなどが典型的な症状です。
肩こりや頭痛、頬の筋肉のこわばりといった二次的な症状も見られる場合があり、早めの治療を強くおすすめします。

口の開閉の不快感
顎がスムーズに動かず、開閉がぎこちない状態に陥ることがあります。
食事中に硬いものをかむと痛みが強まり、深刻な場合は硬いものを避けるようになって栄養バランスを崩すリスクもあります。
噛み合わせの違和感
噛んだときの高さや位置が合わず、一部の歯だけに強い力が加わると顎関節に負担がかかります。
歯の磨耗や破折、むし歯の誘発など、他のトラブルの原因となることもあるため、早期の改善が重要です。
筋肉の緊張や頭痛
咀嚼筋や周囲の筋肉がこわばると、肩こりや首の痛み、頭痛につながる場合があります。
特に歯ぎしりや食いしばりの習慣がある方は、夜間にも筋肉に大きな力がかかり、疲労が蓄積しやすくなります。
当院での診断と検査
レントゲンやCTスキャンの活用

顎関節の形態や位置関係を詳しく調べるために、レントゲンだけでなくCTスキャンを使用することがあります。
立体的な画像を取得し、顎の骨や関節円盤の状態を正確に把握します。
これにより、従来では見つけにくかった関節内部の異常や骨の細かな変化を捉えやすくなります。
噛み合わせの評価

顎関節症は噛み合わせとも密接に関連するため、当院では咬合紙や咬合分析器などを用いて噛み合わせを詳細に検査します。
上下の歯の当たり具合を可視化し、問題点を洗い出し、適切な治療計画を立てるようにしています。
筋肉や生活習慣のチェック

咀嚼筋や首・肩の筋肉を触診し、過度な緊張や痛みがないかを確かめます。
歯ぎしりや食いしばり、長時間のパソコン作業など、顎関節に影響を及ぼす生活習慣の有無を伺い、原因を探求します。
顎関節症の治療方針
保存療法の重視
痛みが軽度から中程度の顎関節症では、まず保存的な治療から始めます。
オクルーザルスプリント(顎関節用スプリント)を装着し、咀嚼筋や顎関節への負担を減らす方法が代表的です。
日常生活の中での姿勢指導やストレスケアも並行して行い、噛みしめの習慣が強い場合は就寝時に専用マウスガードを使って歯と顎を守ります。
咬合調整
噛み合わせに問題がある場合は、わずかな歯の形状調整だけでも症状が改善することがあります。
咬合紙を使って高く当たっている歯を特定し、最小限の研磨でバランスを取り戻す方法です。
これにより、一部の歯だけにかかっていた過剰な負担を分散し、顎関節へのストレスを軽減します。
矯正や補綴治療との連携
歯並び自体に大きな乱れがある場合は、矯正治療を検討することで長期的な安定を期待できます。
また、むし歯や歯周病で歯を喪失したり、かぶせ物が合わない状態のまま放置していると顎関節症のリスクが高まるため、補綴治療も含めた総合的なアプローチを提案する場合があります。
オクルーザルスプリント

オクルーザルスプリントは、就寝時や顎に痛みがあるときに装着し、上下の歯が直接当たらないようにする装置です。
顎の位置を安定させ、筋肉や関節への過剰な力を軽減します。
歯ぎしりや食いしばりを抑制することで、朝起きたときの顎や首の痛みを緩和し、歯の磨耗を防止します。
定期的な装置のチェックと調整を行い、改善度合いを見極めながら噛み合わせを最適化していきます。
日常生活も意識も大事です
姿勢とストレス管理
首や肩の位置が前に出た姿勢(猫背など)で長時間過ごすと、顎への圧力が高まりやすいです。
また、ストレスが溜まると無意識に歯を噛みしめる習慣が強まり、顎関節症が悪化する可能性があります。
適切なセルフケア
バランスの良い食事と十分な咀嚼が、健康的な顎の動きにつながります。
歯ぎしりが疑われる場合は、寝る前にマウスガードを装着し、歯や顎を保護することを勧めています。
定期検診での経過観察
当院では定期的な検診で顎関節や噛み合わせの状態をチェックし、必要があれば装置の調整や咬合調整を行います。
長期的なフォローにより、安定した顎の動きを保つことが可能です。

当院のサポート
当院は顎関節症治療を行ううえで、できるかぎり侵襲の少ない方法から始める方針を採っています。
問診や検査で得た情報を丁寧に患者さまへ伝え、納得のうえで治療を進めるよう心がけています。
必要に応じてCTスキャンなども取り入れ、骨や関節の詳細を把握し、適切な治療計画を立てます。
顎を開くときの痛みや音、肩こりや頭痛を抱えていると、日常生活が憂うつに感じることもあります。
しかし、顎関節症は原因と適切なケアが明確になれば大きく改善することを断言します。
当院では歯列や噛み合わせ、生活習慣の見直しを含めた総合的な治療で、顎への負担を緩和し、楽に動かせるように導きます。
少しでも違和感がある方は早めの受診を勧めます。
健康的な顎の動きを取り戻し、気持ちよく食べたり話したりできる日常を手に入れてください。